男子と会話はできません


だけどそう思ったのは一瞬で、市ノ瀬くんは階段から見下ろすようにわたしを見ていた。


「何?つうかなんで、こんなとこいんの?」


「あっ……今日バスケの試合ある日だって思ったら、迷ったんだけど、やっぱり観に来たくなって、来ちゃった」


「観に来たくなったって、何の試合?」


「西高の……市ノ瀬くんの試合」


「……観てたんだ」


「うん。会場間違えて、最後のほうだけしか観れなかったけど」


「最後のスリーポイント、決めらんなくて笑えたでしょ」と、冷たく言った。


さっきの試合を思い出す。市ノ瀬くんの投げたボールはゴールリングに弾かれて落ちた。


あのときの日が落ちたような市ノ瀬くんの姿が、瞼にこびりついてる。それくらい、胸が締め付けられたから。


だけど見れて良かったって、思ってたんだ。