男子と会話はできません


「何、言ってるんですか」


「え?」


「ていうか、なんでこんな時に来るんですか?本当に勝手ですよね。頭にきてますよ、わたし」


間を置いて、


「待ってますよ。行実先輩。高塚先輩のこと」


と、続けた。


「……どういう意味?」


「キスしました。わたしから一方的に。なんの反応もなかったです。驚きもしなくて……だからわたしに興味がないくらい、わかりました。

でもやっぱり諦められなくて……お祭りには誘ったら行ってくれましたけど、そのときだってたぶんそんな気持ちだったんだと思います。

手だって、わたしが握ったらちょっとの間繋いでくれて、でもやっぱり、すぐ『なんかちげーな』って言われて、離されて。

わたし、どれだけ……どれだけ寂しかったかわかりますか?一緒にいても、きっと高塚先輩のこと気にしてましたよ。早く行ってあげて下さい。たぶん近くにみんなといますから」


若槻さんの声がだんだんと震えて聞こえて、泣いてるのを我慢してるみたいだった。


さっきまでの彼女の態度が虚勢だと、ようやくそこで気づいた。


「若槻さん、ありがと」


お礼を言って立ち去る。迷いはあった。試合の終わったこんなタイミングで会いに行ってもいいのかなと。


だけど、後ろは振り向けなかった。