ベッドの上に大の字で寝転ぶ。天井を見つめ、ずっと考えていた。


今日はバスケの大会がある日だった。前に観に行けなかったから、応援に行ってみたいなって付き合っていたときから思っていたことで、行くと言ったら喜んでくれた。


でも元カノが観に行くのはもう別の話。気持ち悪いと思われるに決まってる。


隼人くんは、背中を押してくれたけど、やっぱり若槻さんのことが浮かんだし、不安にさせたのはわたしだし……考え出すと自信がなくて連絡さえできないでいた。


やっぱり、行ってみようかな。


そして、会えたら、言ってみようかな。試合のあとだし、話しかけても大丈夫そうだったら。


やっぱり顔を見て気持ちを伝えたかった。


杏奈に言ったら、新しい裏稼業でも始めたの?と、呆れられそうだけど、はやる気持ちを抑えられなかった。


目的地の体育館までは電車で一本で行ける距離。下調べもせずに、向かえたのは良かったのだけど、着いてからおかしいことに気が付いた。


入り口は締め切られていて、人の気配すら感じられない。


開かないのに、前後に扉を揺らすわたしは往生際が悪い。


「何しに来たの?」と、警備員さんに声をかけられ、はっとした。怪しい子に思われてるに違いない。


「高校のバスケの大会を観に来たんですけど」


「高校の?ああそれ昨日までだよ。今日は別の会場でやるらしいからね」


「えっ?」


スマホでバスケの大会のサイトを確認すると、最終日は別の体育館と書かれていた。今、気付くなんて。試合、間に合うかな。


慌ててまた駅へ向かった。