男子と会話はできません


ある日の放課後。街に寄って買い物しようぜと、クラスメイト数人で行った。


壁にかけられているTシャツを手に取ろうとすると、隣に隼人がいた。


『お前さ、一目惚れってしたことある?』


隼人は一度考えたのか言葉をためた。


『ないけど』


『服じゃなくて人のことだぞ?』


『わかってるけど、ないよ』


『だよなー。まあいいや』


『一目惚れでもしたの?だから彼女と別れたんだ』


『いや関係ないし。つうかそれもないないない』


『そんなこと訊くから』


『なーんとなくだよ』


『でも否定しないよ。市ノ瀬とか特にしそうだし』


『はあっ?』


『服とかあんまり見ないで買うじゃん』


『まあそうだけど。だからーそれとこれとは違うだろうが』


この前、YOUCANFLYとでかでかと書いたTシャツを着ていたら笑われたことを思い出した。


インパクトすげーって、みんなに。


隼人もそれを思い出しているに違いない。


『服は直感で選ぶからな』と、取り繕ってみる。


『それが一目惚れなんじゃないの。最初、何か少しでも気にならなければ好きになることなんてないでしょ』と、隼人は柔らかい口調で言った。