「だって、朝から晩まで地獄だよ」


だけど、地獄の練習をやりきった感じはあって、すっきりしてる。


「良かった。元気そうで」


「なに?俺の心配でもしてくれてんの」


「元気ないと、怒りっぽいから。本当にわかりやすいですよね」


「あっそ。それは悪いことしたな。もうそういうこともないんじゃないの」


「……怒ってくれてもいいんですよ。わたしと付き合ってくれるなら」


「はっ」と、笑ってごまかした。


「先輩。わたし、先輩のどこが好きかわかります?」


「知らね」


「そういうそっけないとこ」


「もの好き」


「手とか」


「……手?」


「触れたいからかな」


「……」


「好きです」