夏休みは部活と、たまに友達と遊んだり、それなりに忙しかった。


八月になる。


三泊四日のバスケの合宿も最終日となった。夕食後、合宿所の外で、花火をすることになった。


火が消えないようにって、慌てて手持ち花火の先を向け火花のリレーが始まる。流れる。火花のシャワー。ひとつからふたつ、ふたつからみっつと広がっていく。


ひとつ消えても、また新しい火花が、生まれてく。


弧を描いたり、人に向けたり、向けられたり、笑い声やパチパチと燃える音が暗闇を支配していった。


「先輩」と、少し離れて見ていた俺に声をかけたのは、若槻だった。


「やらないんですか?花火」


「こっから見てるほうがきれいだろ」


「きれいって、先輩、花火をゆっくり眺める趣味なんてあるように見えませんけど」


確かにいつもの俺なら、庭先にある岩に座って見るなんてことはしないだろう。間違いなくあそこで花火を振り回していたはずだ。


「疲れてますね」と、俺の隣に座った。