「俺さ、言ってなかったんだけど。羽麗ちゃん、俺のこと好きじゃないのに付き合ったようなもんだったから」


「え?」


「ほら。なんていうの?助っ人っていうか、姫を守るナイトというか。あ、違うか。地球を守るウルトラマンだな」


「例え話が、壮大だね」


「嫌がらせから守るので、付き合ってくださいって言って付き合ったくらいだから」


「……」


気が抜けた。だけど、だからって、それはきっかけであって、高塚の気持ちがどう変わっていったか、わからない。


市ノ瀬にお守りを作ったり、部活のマネージャーと話しているところをぼんやり眺めている高塚の姿だって、今だって思い出せるくらいだから。


好きなんだなって、見てて、何度も思ったんだ。


「なので、とりあえず休戦だな。夏休みになるし」


「休戦って?」


「だってお前、謝んないし、人の彼女に告っておいてよ。あれは最低だ。最低。ゲスの極み男め。なので、俺はまだ怒ってるんだよ!今、喧嘩をしているんだよ!」


「お互い様じゃない。市ノ瀬、ずるい手使って、高塚と付き合ったんだから」と、返してみる。