「実咲ちゃん、ごめんね。わたし、自分を守ることしか考えてなかった。実咲ちゃんの気持ちより、実咲ちゃんに嫌われたくないって気持ちばっかりで……」


「うん。だから今日は怒ってるからね。あと今日は羽麗の話教えないと帰さないからね」と冗談ぽく言った。


それから、中途半端な自分の気持ちを実咲ちゃんに話した。


中学生の隼人くんとわたし。


市ノ瀬くんと別れたこと。


市ノ瀬くんと別れてからも、胸が痛んだり、隼人くんと付き合わないと決めたのに、気になってる曖昧な気持ちを。


「なんかいつもタイミング悪いんだ」と、話しながら自分に呆れた。


「タイミング?」


「隼人くんの気持ちだって、もっと早く気づいていれば違かったのかなって思った。どうしてこんなタイミングで気持ちを知っちゃったんだろ。市ノ瀬くんのことだって、もう少し付き合っていたら、好きだって自信があって、別れることもなかったかもしれないし」


肩を落とした。水っぽくなったカフェオレみたいに、わたしは薄い。