体育の授業に向かっているときだった。ぼんやりしていたのかもしれない。廊下の端に男子が座っていたのは認識していたはずだったのに、足を踏んでしまった。ひやりとした。
「ごめんなさい。大丈夫ですか?」
相手は「いってー」と、背中を丸めるから、よっぽど強く踏んでしまったんだろうと冷や汗が出る。だけど、「嘘。大丈夫だよ」と冗談だったみたいで、けろりとした顔で、立ち上がった。
市ノ瀬くんの家に来てた友達だった。わたしと市ノ瀬くんのことをぎこちないと言った。
「あ……」
「なんか話すの久しぶりだねって、学校で話したことないか」
「うん……ないかも」
「つうか、あーっ!びっくりした。別れたんだもんねー、市ノ瀬と」
「あ、うん」



