「それって」


「別れよ」


「……」


「そしたら、羽麗ちゃんへの嫌がらせも終わるしね。初めから、それが正解だったんだよ。

俺さ、本当はすっげー嫌なヤツで、他人のために身を引くなんてするタイプじゃなかったんだよね。こんなこと言えるヤツじゃなかったんだよ。

羽麗ちゃんと付き合えたから、言えるようになったのかな。ありがとう。

それが羽麗ちゃんの幸せなら、俺、平気だから」


立ち上がった。


スポーツバックについた、バスケットボールが揺れる。


背中が滲むから、泣いてるのがわからないように、俯いて見れなかった。


振り返らないんだって、わかってたのに。