「そっか。変えるなら、高塚のこと下の名前で呼びたかったな。高塚には言えなかったけど、俺は高塚っぽくて好きだったから」
「あ……」
そんな風に思っていたとは知らず、返事に困る。
「で……でも、もう少し考えてみる。もし変えるなら、高校卒業とかそういうタイミングのときがいいし 」
「うん。ゆっくり考えたらいいよ」と、微笑んだ。
午後の移動教室の帰り、「今のびっくりしたよね」「ケンカ?」と、後ろからざわざわとした声がする。
「ケンカじゃない?隼人くんっておとなしいイメージあったから、びっくりした」
振り返るとクラスの女の子で、思わず、「隼人くんと誰が喧嘩したの?」と、訊いてしまった。
「え……誰って」と目を泳がせながらも、「市ノ瀬くん」と、言った。
「市ノ瀬くん?なんで?」
「さあ。廊下で言い合ってるの見ただけだから、そこまでわかんないけど」
どうしてだろう。
二人が喧嘩するなんてイメージがないのに。



