そう言うと、隼人くんはわたしから目を逸らして、庭を見た。
「本当に今日はごめんね」
「うん。本当は少し頭にきたけど許すよ」
「……隼人くんって、正直者だね」
「どこが?」
「わたしなら、隠しちゃう。頭にきたって、一言」
「どうかな。高塚、本当は怒りっぽいじゃん。何か言われたら昔みたいに言い返せばいいのに。追いかけてさ」
「あのときは、まだ小学生だったからだよ。追いかけて怒るなんてもうできないよ」
「あの頃がいちばん素直だったんじゃない?」
「……」
「今日、高塚に怒られて、追いかけられる男子の気持ちがわかった気がした。高塚の嫌がることするもんじゃないね。怖いから」
「もうっ。昔のこと思い出されるの恥ずかしいな。そんなに怖くないもん」と、わざとらしい、しかめっ面をした。
「高塚」
「ん?」
「どうして泣きそうなの?」
隼人くんが昔の話なんかするから、またママのことを考えてしまった。あんなこと言わなきゃ良かったのかなって。ママはどう思ったんだろうと想像すると、涙が出そうだった。



