追いかけてくるわけでもないのに、全力で走っていた。
ふいに足がもつれて、転んだ。目をあけた時には、思い切りアスファルトに抱きついていた。
「いった……」
身体を起こし、痛む部分を確認すると、膝の皮がむけ血がにじんでいた。指や腕も軽くすりむけている。
ママにあんなこと言ったから、バチでも当たったのかな。少し笑いたくなった。
ふと、わたしの足元に近づいてくる影に気がついた。
人、歩いてたんだ。見られたかな。恥ずかしい。
慌てて顔を上げると、ボストンテリアがいた。なんか見たことがある。
「……モ、モコ?」
隼人くんちのモコに似ていた。
「モモコ、こっち」
リードの先を追うと、そこにいたのは、隼人くんのおばあちゃんだった。



