「何か言いなさい。誰にされたの?」
だから、言った。なるべく静かに。じゃないと怒鳴ってしまいそうで、そんな自分には、なりたくなかった。
「知らない」
「知らないわけないでしょ?何か心当たりないの?」
「わかんないよ。ロッカー開けたらこうなってたんだもん。わたしのこと、嫌いな誰かがしたんじゃないの?」
「嫌いな誰かって?羽麗、あなた誰かに……」と、言葉を詰まらせた。
「黙っていちゃわからないでしょ。言いなさい。誰か心当たりあるでしょ?」と、わたしの両肩に手を乗せじっと見つめた。
「誰かに意地悪されてるの?これだけ?」
ふつふつとした怒りが収まらない。言いたくないのに、言いたくなる。ママの、ママのせいでって、言いたくなる。
「良かった。ママもそんなこと心配できるんだね」
声が少し上ずった。



