男子と会話はできません

「見せなさい」と、急に声が低くなった。


「いいから、向こう行ってよ」


「いいから、見せなさい」と、いつもの友達みたいな距離感の取り方をやめると、ママの顔に変わった。


ママはどうしていつも自分勝手なんだろう。わたしの気持ち、考えてくれないんだろう。


嫌だって、言ったって、ダメなんだ。いつも根負けして結局ママの言うとおりになる。


身体を起こした。ママはまた顔をしかめた。ズタズタにされた体操着が目に入ったからだ。


「どうしたの?なくしたんじゃなかったの?」


「なくしたよ。戻ってきた」


「なんでこんな風になってるの?」


「自分でしたの」


「そんなわけないでしょ。誰かにされたのね?」と、追い詰めるように訊く。


黙ると、怪訝そうな顔をしていた。


だけど黙っていた。自分の中で、ふつふつと怒りが湧いてくるのを感じて、押しこめたくなったからだ。