「ちゃんと返事してなくて、ごめん。やっぱり文化祭は友達と回ることにしたから」
「友達と回るんだ。もしかして、女の子？」
「ううん」
「そっか。なら、いいや。うん。すごく残念だけど」
「じゃあ。真壁も文化祭、楽しんで」と、去ろうとする俺を「隼人くん、あのさ」と、止めた。
「……隼人くんって、好きな子いるの？」
「なんで？」
「普通、理由訊くかな？」
「教えなくちゃいけないこと？」
「そういう言い方するってことはいるんだね」
嘘をついても仕方ないけど、好きな子なんて、言うつもりもなかった。適当に受け流そうと口を開こうとすると、
「羽麗？」と、真壁は言った。
不意をつかれたみたいで、何も言えなくなった。
