男子と会話はできません


コツンと消しゴムが、隼人くんの額に飛んできた。


「って」


犯人は市ノ瀬くんで、「隼人」と真剣な顔だった。


「ん?」


「知ってんだぞ。俺は。テストの順位が上位だってことをよ。ちょっとこれ教えてみろよ」


「偉そうな奴には、教えない主義なんだ」


「邪魔しにきやがったくせに。これくらい、いいだろ」


「……市ノ瀬、これわかんないって重症だね」


「んがっ。仕方ねーだろ。わっかんねーもんは、わっかんねーんだもん」


呆れたような顔で言ったけど、勉強を教えている隼人くんの説明はわかりやすくて、丁寧だ。だから、本当は嫌じゃないんだろうな。


「おお!そういうことか」と市ノ瀬くんが感心したように呟く。さっきまでやる気がなかったのに。


わたしも手を止めて、じゃれ合うようなやりとりを眺めていた。


最近、話しているところを見ないと思っていたけど、やっぱり二人は仲良しなんだな、と微笑ましくなった。