「あ。じゃあ、わたし帰るから」と出していたノートを鞄にしまおうとすると、「いや。いいよ。帰らなくて」と市ノ瀬くんに引き止められた。
「よし。じゃあここでみんなで勉強しよう」とひとりの男の子が提案する。帰りたいと思ったのに、結局わたしは意地を張れなくて、流されるまま、ただ座っていた。
適当に持っていた鞄を床に置いて、テーブルを囲むように座った。男子が五人もいると、明らかにわたしはここに必要のない人間で、居場所がないように感じてしまう。
「せめーから、早く帰れよ」と言うけど、そんなの気にすることなく「初めまして」と自己紹介やら、「市ノ瀬のどこがいいの?」という冷やかしな質問を投げかけてくるから、頭が真っ白になる。
どうやら一年のときのクラスメイトらしいということだけ、理解は出来たけど。
「うるせー。お前ら、余計なこと訊くなー」と、市ノ瀬くんが隣で助け舟を出してくれるから、取り繕ったような笑いでどうにか誤魔化した。あとは勉強に集中してるふりでもしようと、ノートを開いた。
正面にいたのは隼人くんで「高塚、大丈夫?」と、わたしに訊いたのは、たぶん男子に囲まれているのを心配してくれてるんだろうって、わかった。「うん」と言いつつ、うまく声が出なかった。



