男子と会話はできません


「が、がんばれ」


「……」


「やればできるよ」


「……」


「元気出してね」


「……」


どれも違うらしい。人を励ます言葉の引き出しの少なさに自分でもがっかりだ。


「羽麗ちゃん、俺のことどう思う?」


急に気持ちを確かめるようなことを訊かれて、びっくりしたけど、「好き?」と言葉が浮かんで、そのまま言った。さすがに恥ずかしくて、疑問形になってしまったけど。そうして気付く。初めて市ノ瀬くんに好きって言ったんだって。


「元気でた」と身体を起こした。


だけど、元気とやる気が出るって違うみたいで、英語の問題集を眺めていただけだった。広げたノートと、ペンを持つ手は動かない。


「なにか教える?わたしがわかるならだけど」と、市ノ瀬くんの手元を覗き込んだ。


長い英文を読み込んでいると、市ノ瀬くんの視線を感じて、顔をあげた。


なんか、顔が近い気がする。見つめ合うと、その距離はさらに縮まった。