『……俺さ、高塚には幸せになってほしいけど、市ノ瀬のことは相談にのれないと思うから』



あのときは聞き流してしまったけど、どういう意味だったんだろうと少ししてから気になった。


もしかして、やっぱり、色々迷惑をかけていたから、相談とかそういうの面倒くさいって思っていたのかな。


それとも。


もうひとつ考えた。


元カノの恋の相談は聞きにくい、とか。それならあのとき、ちゃんと好きでいてくれたってことなのかな。だから、昔好きだった子の恋の相談なんか……と、そこまで考えて、やっぱり違うな。考えすぎだと否定した。


女の子の恋の相談なんてきっと面倒くさいんだ。きっとそうだ。今、大変なときなんだから、余計だ。










「羽麗ちゃん、放課後、遊ぼ」と、市ノ瀬くんが言ったのは、電話でのことだった。


たどたどしい会話を数分だけした。付き合ったと言っても、それくらいしか変わったことはなくて、約束の水曜日になっていた。