「あっ……えっと杏奈に確かめろって言われたんだ。

あっあと隼人くんにも訊いたらね、市ノ瀬くんは面倒くさいとき嘘つくからって言われちゃった。

当たってた。なんでも知ってるんだね、市ノ瀬くんのこと。本当に仲良いんだね」


訊かれたらうまく答えられない気がした。だからか、べらべらと関係のないことが口から出てしまう。


「へえ」と、興味のないような相槌を打つと市ノ瀬くんは黙ってしまった。


前みたいに照れてしまったとか、そういう感じではないのはわかった。


顔を背けたり、赤くなったりしてないし、何より照れるようなことも言ってないのは明らかだし。


気を悪くさせてしまったのかな。


そう考えつくと、わたしも黙ってしまう。


だけどきっと、市ノ瀬くんから何か言ってくれるだろう。


そう思っていたのに、一秒一秒がとても長かった。


そのまま何も話さなくて、何を考えているのかなって思って、話を逸らそうとしたのが嫌だったのかなって思って、市ノ瀬くんが口を開くより先にわたしは、思い切って言っていた。