男子と会話はできません










「市ノ瀬に彼女?どうだろうね」と、腕組みをした杏奈。教室に戻って、つい訊いてしまった。


「そう言って振られた子がいたんだって。最近」


「本人に訊いてみたら?」


「まあそうだけど」


「ああわかった。隼人くんに訊けばいいんだわ」と、購買部から戻ってきたのかジュースを持った隼人くんに手を振って呼んだ。


「なに?」


「市ノ瀬って今、彼女いるかわかる?」


「市ノ瀬、いないんじゃないの?なんで?」


「あいつ、羽麗に気を持たせるようなこと言って、彼女が本当はいるっていうとんでもないたぶらかし男子なんじゃねーのか疑惑が発生したのよ」


「ああ。市ノ瀬、面倒くさいとすぐ嘘つくから」と、わたしを見て言った。


慌てて頷く。


隼人くんが席に戻ってから、杏奈は「まあ隼人くんがああ言うなら、彼女いないと思うけど、本人にも聞いてみたら?自己完結がいちばん良くないよ。見たいようにしか見ないんだから」と、わたしの背中を押すように言った。