付き合ったのは彼女が初めてで、別れ話なんていうのもその日が初めてで、ひどく緊張していた。


その言葉を言った後、彼女はどんな表情をするんだろう。


ほっとした顔だったら、きっとずっと別れたいと思っていたんだろう。


そんな答えがわかる気がして、彼女の本音を受け入れる勇気なんて持ち合わせてなかったと、彼女と歩きながら気づいた。


河川敷の階段に腰をかけて、一息ついて言った。


『友達に戻らない?』


『えっ?』


『友達に戻ろう』


『それって……』


続きを言えず口をつぐむから、代わりに


『うん。なんか俺といると高塚が無理してる気がして、一緒にいても楽しくないんじゃないかって、俺、ずっと気になってた。

俺は好きだよ。だから、無理させたくないし、一度友達に戻ったほうが高塚にとってはいい気がしたんだ』


と言った。


ぐっと唇をかむ。


ふと四年生の教室のときの顔を思い出した。