「羽麗ちゃーん!」
その声でびくりとする。
市ノ瀬くんだ。
堂々と教室の中に入ると
「石川、邪魔」
と杏奈に言った。
「はいはい好きにしたら」と杏奈は立ち上がって席を譲った。
嘘。
向き合うと、
「話すの久しぶりだね」
と、微笑んで言った。
わたしは少しドキドキしていた。定期戦が終わって話していなかったのもあるけど、もうひとつ理由があったから。
ご褒美といった、約束。
「俺、わざと避けてたの気づいた?」
「えっ?」
戸惑いながら言うと、「なんてね」と笑った。
あ、そうだ。
「一位、おめでとう」
「勝つって言ったからね。有言実行。かっこよかったでしょ?」
茶化して言う。



