「そっか。
今日、ママの命日なんだね。」
小さく、柑奈は呟く。






画面には金髪に緋瞳の少女の似顔絵が表示された。
洋風とも和風とも言えない不思議な顔立ちの少女だ。
この少女を柑奈はよく、知っていた。







「ごめんね、ママ。
あたしの声はママに届いてるかな?」
柑奈はもう一度呟いて、大きくて綺麗な宝石のリングを握りしめる。







涙が頬を伝う。






早く、あたしをママのところへ連れてって。
柑奈はそう願う。





泣いたのは何年振りだろう。
どんなに悲しくても、辛くても、苦しくても、柑奈は泣かなかった。






いつからこんなにあたしは弱くなった?
自嘲気味に柑奈は笑い、顔を洗うために洗面台へ向かった。