ゾクッ
「え…」
「どうかしたのか?」
「い、いや…何でもない。」
「そうか」
さっきこの島に入った瞬間胸騒ぎが
止まらない。何かやばい。危険を感じる。
「ねぇ、陸。帰らない?」
「どうして?」
「胸騒ぎがするの」
「…」
「ねえ、何で黙ってるのよ!」
「しっ!何か来るぞ!」
陸は私の腕を引っ張って草むらに入った。
すると、女の人が現れて
「あっれー?おかしいな~。
 ここにいた気がするのに~。」

「石岸海(せきぎしうみ)。なぜ。」
小声で陸がつぶやいた。
「え?どういうこと?」
「アイツ海龍の副総長だ」
「え!?」
「なんでここにいるんだ。」

「ほら、さっさと歩けよヘボオーナー。」
「ヒィ!…天龍を殺すなんて…」

「「は!?」」

「何でもいいからさっさと歩け!」

(ひどい。人を人とも思ってない!)

「陸今の聞いた?」
「ああ。あの人確か、俺らが泊まるホテルの
 オーナーだ。」
「え、と言うことは」
「俺らの居場所分かってんだな」
「ヤバいね。はやく知らせなきゃ」
「ああ。」
私たちは急いで海に向かった。

ー…
「かれんと陸どこ行ったんだろ」
「海で泳いでたはずなのにな」
「それで2人とも居ないってわけだね」
「まさかこんな事になるなんて」
「昌、わざわざすまねぇ。」
「陸は防水のケータイ持ってるはずだけど、
 連絡してみたの?」
「うん。どうやらここに置いていったみたい」
「やばいな。」
「かれんのケータイも繋がらない?」
「持ってると思うけど、出ないんだ。」
「何かあったのかもしれないな。」
「総長もすみません。」
「騒がしいのが居ないと暇だったから大丈夫」
「総長、こちらからかれんちゃんのケータイ
 を逆探知します。」
「わかった。雫、かけてみろ。」
「はい!」

プルプル…

ー…
「雫から電話が。」
「でろ。」
「うん。…もしもし…うん。今隣の島に来てて
 …わかった。通話つけっぱなしにする。」
「探しに来てくれるのか?」
「うん。そうみたい。」
「取りあえず、ここから離れよう」
「うん。」
私たち本当に見つからなきゃいいんだけど。

ー…
「どうやら海にでるつもりですね。」
「そうか。捕まらなきゃいいがな。」
「はい。」
「かれーん…」
「泣くなよ、雫」
「だって、かれんが~」
「落ち着けよ、なあ?」
「うわーん、明がキモいよー」
「それどういうことだよ!」
「「2人ともうるさい!」」
「「…ごめんなさい…」」

ー…
「やっとここまで来れたね」
「ああ。」
2人で砂場に足を踏み入れた瞬間、

バサッ!

「何これ!」
罠にかった私は、上に引っ張り上げられた。
「かれん。大丈夫か!
 くそ、俺ら後つけてやがった」
「え!」
草村の中から1人の男が現れた。
「そうだよ。よく気付いたね、小笠原陸くん」
「てめぇは潮滝龍志!」
「へー、あの女が天龍の新しい仲間ね~。
 可愛いね。食べちゃいたいぐらい。」
下から刃物を突きつけられる。
「!?」
「かれん!」
「へー、かれんって言うんだ。」
「しまった。」
「かれんちゃん、ちょっと遊ぼうか?」
草村からどんどん男達が下に集まってくる。
「は…!?」
その時陸が叫んだ。
「遊ぶなら、この俺としろ潮滝!」
「へー、自分が傷ついてもいいってわけか?」
「彼女に触れるな!」
「いいだろう。まず小笠原陸くんから
 始末してやるよ。」

ー…
「逆探知出来ました。今すぐ出発できます。」
「昌、あの作戦はどうなった?」
「はい。指示通り集めました。」
「よし。皆行くぞ!」
「「おお!」」
ついに天龍が動き始めた。

ー…

ズバッ
バキッ
バンッ

陸の背中に刃物で切りつけたり、みぞうちを
殴ったりして痛めつけた。

ドサッ

「ガハッ…」
陸が砂の上にうつぶせで倒れた。
背中には赤い血が流れている。
「もうやめて!」
「おいおいどーした?さっきの殺気ねぇぞ?」
「く、くそっ…ゲホゲホ…」
「そんなにもあの女が大事か?」
陸の頭に足を乗せる潮滝。

(ひ、ひどい…!!)

「…そうだ」
「へー、でも無理だね。」
「何だと!?」
「そろそろかれんちゃんを貰ってくね」
「や、やめろ…かれんに手を出すな!」
「お前は黙ってろ!」

バキッ

「ガハッ」
「り、陸!!」
「さあ、お遊びの時間だよ。お嬢ちゃん」

バサッ

私は男達に網を切られて捕まえられた。
「は、離して!」
「かれん!」
「あーあ。可哀想な陸くん。
 大事な女1人も守れないなんて。ハハハ」
その時、私の何かが切れた。
「…あんた…いい加減にしなさいよ!」
「ほー…威勢がいいね、かれんちゃん。」
「名前で呼ぶな!」
「…せっかく遊んでやろーと思ったのに~」
「どうしますか?総長」
「やれ!」
「やめろー!」

シュッ
バンッ

私は男の拳をよけて、みぞうちを殴った。
「…いってぇ。」
「か、かれん…!?」
陸…ごめんね。傷つけちゃって。
私が陸を助けるから。
大丈夫。コイツ等は大したことない。
私は日本一の族吹の9代目総長だった。
力を抑えないと…。
「何しやがる!こいつー!」
「離せっつの!」
私はしゃがんで腕掴んでる奴にすねを蹴った。

バーンッ

「いってぇ。こいつすね蹴りやがった」
「私をなめないで」
「かれん…お前…」
「怪我させてごめん。そこでじっとしてて。 
 こいつは私が片付けるから。」
「それはどうかしら?」
草村から1人の女が現れた。
「お前は!」
「ウフフ…ごきげんよう、みなさん」
「石岸海!」
「小笠原陸くん。存分に痛めつけてあげる♡」
ムチを取り出して背中に叩きつけた。

バシンッバシンッ

「ぐあー!!」
「なにすんのよ、あんた!」
「ウフフフ…」
「よそ見してる暇ねぇよ!」
私はギリギリの所で潮滝の拳をよけた。

シュッ

シュッ
ドスッ
バンッ

私は刃物を持った潮滝をかわすのと
拳を腕で受け止めた。
「なかなかやるじゃん!」
声がしたから横を見ると陸の体に
あの女が触っていた。
「陸に触るな!!」
「それは無理ですの~♡オーホホホ。
 その美しい体、やりがいがありますわ~♡」
そういって、またムチで叩きつけた。
「あ″ーーーー」
「言い叫び声だこと。もっと聞かせなさい♡」
「やめてー」
「隙有り!」
「やばっ!」
潮滝の蹴りをギリギリでよけた。

シュッ

「よけなくてもいいじゃん、かれんちゃん」
「嫌よ」

バシンッバシンッ

「あ″ーーーー」 
「オーホホホ!」
「あっ!…陸に触るなー!!」
私はケンカをほっぽりだして駆けつけて、
あの女の頬を殴った。 
「いったーい!なにすんのよ!」 
「…逃げられると思うなよ?」
私は2人の敵に囲まれた。
「うるさーい!2人まとめてやっつけてやる」
「やれるもんならやってみろ!」
「生意気ですわ!殺してあげる♡」

バシンッ
シュッ

シュッ

ドーン
ザザザー
私は潮滝の攻撃を受けてしまい、
後ろに下がった。

(くそ、向こうは刃物とムチ持ってるし。
 避けるので精一杯。どーすれば。)

「考え事してる暇なんてないわよ!」

シュルルルル

私の足がムチに巻きついた。
そして私は転んでしまい、潮滝に捕まった。 髪の毛を引っ張り上げられて、
「あ″ーーーー」 
「さあ、ここからが本当のショータイムだ」