B組の教室はまだ半分くらいの人しか登校しておらず、静かだった。


私は一番後ろの席だった。


「トイレ行ってくる。」


友梨亜はトイレに立った。


この席で一年間過ごすのか…。


後ろだし…結構いい席だな。

隣どんな人だろ。

教科書とか見せてくれる人ならいいけど…。


女の子でありますよーに!!



そんなことを思っていたときだった。






隣から春風にのった、爽やかな匂いがした。





それはいつかどこかで嗅いだ、匂い。



一瞬で私の体温が上がった。


そして胸の鼓動がとまらない。






そこには昨日の犬の男の子がいた。







私は一体その時、どんな顔をして彼を見つめていたのだろう。



喜びなんていう素直なものじゃなくて、驚きという簡単なものじゃない。



きっと私は奇跡を感じてしまった。