「…!…い!…おい!」
ぱちりと目を覚ます。
…ここはどこだ…?
「はぁ、よかった。お前ら4人、吹雪の中倒れてたんだよ。天、駿、菊池、木村」
大熊がそう言う。
俺はきょろきょろと辺りを見回す。
病院のようだ。
同じ部屋に駿、梨華、木村栄子がいた。
「お前が最後に目を覚ましたんだが…なにか覚えてるか?なんであんなところにいたんだ?」
…あんな…ところ…?
「…なにも覚えてない…どこにいたかも覚えてない…」
「はぁ…、やっぱりか…。こいつら全員そうなんだ。
木村栄子が一番記憶喪失気味のようだ…。お前らのことも思い出せないんだとよ。」
木村栄子の方を見る。
すると木村栄子はビクッと肩を揺らした。
木村栄子…クラスメイトなだけでなにも関わりはないはず…。
「困ったなぁ…」
ポリポリと頬を書く大熊。
「…なぁ、先生。俺、夢見てた。」
「…夢か?」
「うん。長い夢。知らない女の子が出てくる夢なんだけど…どんな夢かはっきりは思い出せない。
でも、女の子の涙がすごく美しかったことだけ覚えてるよ。」
夢を思い出したとき、理由はわからないけど一筋の涙がこぼれた。
