「悪魔だって!?」
駿が声を張り上げる。
俺は声も出ない。
…これは現実なのか?
「そう。真白ちゃんは僕と契約した。
過去に3か月間だけ戻れる代わりに、真白ちゃんの存在と命をもらった。
そして真白ちゃんは過去に戻って君たちを救った。
だけど真白ちゃんは今日が終わると消えちゃうし、みんな真白ちゃんのことを忘れちゃうんだよ」
…!!!
声が出なかった。
なんてことだろう。
本当に俺は未羽に、真白に、守られたんだ。
未羽のこれまでの言動に納得がいった。
「…!!消えちゃうっていつなの!?」
梨華がハッとして聞く。
「ん〜あと2分くらいかな〜」
「!?!?!?」
「嘘だろ!?」
「そんな…嫌だ!!嫌よ!真白!!!」
3人とも涙が止まらない。
俺たちは未羽を助けるだなんて言っていたけど、助けられたのは俺たちの方。
しかも、真白は命を張って助けてくれたんだ。
「真白っ真白っ…!!!」
走り寄って真白に抱きつく。
「…天くん!!!
ずっと、ずっと、こうやってギュッてしたかった!!!好きって言われた時、私も好きって言ってキスしたかった!
忘れられるってこんなに辛いんだって、毎日涙が止まらなかった…!!」
真白も俺の腕の中で泣いた。
「辛い思いさせて本当にごめん…!
真白!真白…!!!俺が愛してるのはやっぱり真白だけだ…!!!お願い、消えな…」
俺が言い切る前に真白の唇が俺の唇を塞いだ。
それ以上言わないで、と言うように長いキスをする。
「駿くん、駿くんはいつも明るくて馬鹿で、私たちのムードメーカーだったね。私がいない世界ではりぃちゃんと付き合っていなくってびっくりしたよ。りぃちゃんと仲良くするんだよ?
りぃちゃん、私たちがいじめられた時、私はりぃちゃんがいたから負けずにやってこれたよ。可愛いのに本当に強くて誰よりも優しいりぃちゃんに毎日救われてたよ。
…2人とも大好き。」
「うっうっ、ましっ、ましろ…!お前がいたから俺たちは仲良くなれたんだよ!!!真白がいたから…真白がいつも笑ってくれたから…!」
「ましろっ…!救われてたのは私の方だよ馬鹿!!!!私の方がずっと大好きなんだからっ!!!」
「…そして天くん…。
天くんは私のすべてでした。
天くんがいたから私がいた。
一緒に過ごした毎日、私忘れない。
私の初恋。最初で最後の恋。
愛してました。そしてこれからも愛し続けます。」
「ましろっ…」
"さよなら…"
そういって真白は笑顔で消えてしまった。
レイという男もいない。
駿は空を見上げて泣き、梨華はうずくまって小刻みに震えている。
俺は…
「う、うわあああああああああ!!!」
泣き叫んだ。声が枯れるまで。
吹雪の中、寒いなんて言葉も忘れて。
そのまま3人は気を失った。
