だけど明日は絶対に話しかけることができる。
運命のスキー研修の日だ。なにが起こるかわからない。
「未羽から目を離さないようにしよう。
私たちで未羽を助けるよ!」
梨華の言葉に俺たちは強くうなずく。
絶対に助ける。守る。
その日の夜、なんだか眠れなくてベランダに出た。
「〜♪〜♪〜♪〜」
!!!!
未羽の声だ。
未羽もベランダに出ているんだ!
話しかけるべきか!?逃げられてしまうか!?
「たとえあなたが私を忘れようとも私はあなたをずっと愛してる。」
!
突然歌うのをやめてボソッとつぶやいた未羽。
…歌詞のフレーズか?
そっと耳をすます。
「絶対私が守るからね、どうか目を覚ましてね…天くん」
!?!?
俺…?
もしかして最初から俺への…!?
「未羽!!!!」
たまらず叫ぶ。
「!?天く…」
ピシャ!
勢いよくベランダが閉められた音がした。
どういうことなんだ!?
たとえ私を忘れようとも?
守るから?
目を覚まして?
どういうことなんだよ未羽…。
1人で抱え込まないでくれ…。
未羽、君は一体誰なの?
どこから来たの?
俺の…大切な人…なの?
…わからない。なにもかも。
どうして思い出せないのかも。
その時流れた涙は無力な自分を恨む涙だった。
