「ったく……澤井がペラペラ喋るから……」
「芽衣子が喜ぶと思って!」
碧人くんのひと言で傷ついて、碧人くんのひと言で喜んで、わたしは本当に単純だ。
顔は緩みっぱなしでどうかしてしまいそう。
「わたしも碧人くんのこといつも考えてるから同じだね!」
「そんなに仲良しなら日野くんも「芽衣子」って呼んであげればいいのに」
「二宮で十分だろ……」
きょとんっとした顔で桃花が投げかけた爆弾に、碧人くんのペースがまた乱されている。
苗字が知らなかったとはいえ、桃花のことはあんなに簡単に呼んでたのに……ずるいや。
「わたしも名前で呼んでほしいなぁ……」
友達だと思ってくれているなら、名前で呼んでくれたっていいじゃん。
わたしは今よりもっと碧人くんに近づきたいのに、碧人くんは違うの……?



