「もうすぐバレーの試合始まるでしょ?だから一緒に体育館行こうと思って」
「そっか……もうすぐ試合か………」
「芽衣子のためにポンポンまで作ってきたんだから絶対勝ってよね!」
そう言って、桃花がわたしの顔の前でお手製のポンポンを揺らしている。
「気合い入りすぎだろ」
「気合い入れてなんぼでしょ!日野くんにも1つ貸してあげるから一緒に芽衣子の応援してよね」
グッと碧人くんの腕を引いて、強制的にポンポンを手渡した。
桃花、近いよ………。
「なんで俺がこんなの持って応援しないといけないんだよ」
「芽衣子に愛のこもったエールを送るためなんだから、これくらいしないと!」
「面倒」
碧人くんと桃花ってこんなに気軽に話すほど仲良かったっけ?
碧人くんの1番近くに居るのはわたしだと思ってたのに、あっさりと特別が無くなってしまった。
桃花と話す姿はとても楽しそうで、わたしの入る隙すら見当たらない。
さっきまで野次を飛ばしていた女の子たちも、「美男美女でお似合いだなぁ」と言う声が聞こえてくる。
わたしと碧人くんの関係は完全否定で、桃花だけは認められた。
まるで、わたしがいらない子みたい。



