さよならリミットブルー


どうして?いつから?

いつから碧人くんは桃花を名前で呼ぶようになっていたの?


「二宮?」


ほら。

わたしのことは名前でなんて呼んでくれない。

………それが、こんなに寂しいだなんて。


騒がしい生徒たちの声も、隣に立つ碧人くんの声すらも、何ひとつ聞こえない。

わたしだけが違う空間に飛ばされたような不思議な感覚に落ちていた。


瞳には碧人くんの顔が映っているのに、全てが色褪せてスローモーションに見えてくる。


どうしてわたし、こんなに泣きたくなるんだうーーーー。


「ちょっと芽衣子!呼んだんだから、返事くらいしてよね!」

「もっ、桃花………!?」


さっきまで少し離れた場所に居た桃花が、いつの間にかわたしの目の前に立っていた。

ヒラヒラと短いスカートを揺らしながら、恐る恐る顔を覗く仕草がとても愛らしい。