当然コスプレをするならクラスで1番顔が良い人が着るのが妥当なわけで。

当たり前のように碧人くんが選ばれたのだ。


本当は体育祭が始まる数日前に本人に承諾を得るのだが、碧人くんは絶対断るだろうと思われ当日に無理やり着せられたらしい。


学校1かっこいいとまで言われている碧人くんのコスプレ姿をみんな楽しみにしたわけで。

だから碧人くんだけは強制的に当日だったのだ。


応援団風になっているからハチマキも巻いて、手袋もつけて、女の子の夢が全て詰まっている。

わたしだって思わず「かっこいい」と言ってしまったくらいだ。

学校中の人が恋に落ちてしまいそう。


「えー、彼女なわけ無いよ。全然釣り合ってないし」


そして、こんなかっこいい碧人くんの側にいるわたしが野次を浴びるのは当然の結果だった。


なんの取り柄もない平凡なわたしが碧人くんの隣にいるのって、やっぱり変なのかな。

急に視線が怖くなり、たまらず手で顔をそっと伏せた。