「明日はわたしの番だね。バレーで絶対優勝するから応援よろしく!」


ニッと口角を上げて、碧人くんの顔の前にブイサインを突き出した。

碧人くんには負けてられない。今度はわたしが頑張る番だから。


「………頑張れ」


優しい声でエールを送ってくれる碧人くんを見たら、


ーードキン


急に胸がざわついた。


きゅっと胸を締め付けられて、苦しいのになぜか嬉しくて。

まだ、変な鼓動がする。

碧人くんがかっこいいからかな。

たぶん。きっと、そうだと思う。


今だけはこの感情に名前を付けないことにした。

気づかないままでいた方が幸せなことだってあるんだと、自分勝手に言い聞かせて。


まさかその偽りが、後に後悔の引き金になるなんて、今のわたしには知るよしもなかったのだから。