さよならリミットブルー


わたしと碧人くんの間に恋愛感情は一切ない。

けれど、わたしにとって碧人くんが特別であることは変わりないから、恋愛感情に疎いとすぐに勘違いしてしまう。

誰かのひと声で碧人くんへの想いは恋なんだと言われれば、それを信じるしかなくなるから。

違うってわかってるのに、否定しきれない自分がいる。どうしてだろうね。


「ていうか芽衣子の王子様の正体が日野くんだったなんて初耳。早く言ってよね?」

「タイミング逃しちゃってて……」

「まぁ、それなら日野くんに構うのも納得かなぁ。なんたって芽衣子の王子様だし」


確かに碧人くんは王子様に見えなくもないけど、素っ気ないしいじわるだ。

根は優しいけど、絵本の世界にいる王子様には程遠いような……?


「そんなことより、早く片付けて碧人くんの応援行こうよ!」

「そうだった!日野くんの勇姿を目に焼き付けなきゃ!」