「あーあ、これじゃあどんなお弁当だったかわかんないじゃん」
「まぁ、こういう日もあるよね!」
「芽衣子のアホ〜、おてんば〜」
残念そうにわたしのお弁当を見つめる桃花には悪いけど、正直少しホッとした。
桃花の後じゃ何を出しても霞んで見えてしまうもの。
唯一原型を留めているのは玉子焼きくらいで、その他は本当に酷い有様だ。
「どうせ食べれないし、わたしのお弁当なんかほっといて桃花の食べようよ!」
寄っているお弁当でも、さすがにずっと開きっぱなしなのは精神的に来るものがある。
そう思い、お弁当は無理矢理桃花から奪い取った。
慣れないことはしないほうがいいね。
小さく息を吐きながらお弁当箱の蓋を閉めようとした、
その瞬間。
「待てよ」



