ー……ピーッ


試合終了のホイッスルが力強く鳴り響いた。

弾んでいたボールが床を転がる頃には、体育館が歓声に包まれている。


額に汗を滲ませながら密かにガッツポーズを決める碧人くんの姿がとても眩しくて、


「やったー!」


と2階の観戦スペースから手を振った。


「もー、超かっこよかった!!日野くんって運動神経いいんだね」


そんなわたしの隣で、目ハートにしながら桃花がうっとりと碧人くんを見つめている。

その様子がおかしくて、思わず笑ってしまった。


「ふふっ、まさかわたしも碧人くんがなんでもできるイケメンだとは思ってなかったなぁ」


フリースローラインから放たれるボールは綺麗な弧を描いて、体育館中にいる人たちを魅了してしまった。

元から人気はあったけど、今日の事でファンクラブなんかできそうな勢い。


「かっこよすぎだよ………」

小さく呟いたひと言は、たぶん桃花には聞こえていない。

ふよふよ周りにハートが浮かんで楽しそうだもん。