でも、今の告白が本物だとしたら、わたしはなんと答えただろう。


答えはすぐそこまで出ていたのに、碧人くんの一声で弾けて消えてしまった。

イエスかノーか。

たったそれだけで今の関係は崩れてしまう。

どちらかが相手を好きになった瞬間、友達ではいられなくなる。

そんな日は来るはずないってわかってるのに。少しだけ怖くなった。


「今まで変な作戦に付き合わされたお返しだ」


そんな悩みができたとは知らずに、碧人くんは楽しそうに笑っている。


「全部、碧人くんのために考えた作戦だったのになぁ」


平然を装って必死に表情を作るが、気づかれてはいないだろうか。

嘘でも告白されたのは初めてだったし、動揺するなと言う方が難しい。

恋愛に興味がなくたって女の子だもん。少しは意識しちゃうよ。


「まぁ、バレー頑張れよ」


ポンッと頭に乗ったのは温かいぬくもり。

碧人くんの手だ。


「そういうの反則だから……」


碧人くんは誰が見てもかっこいい。だからこそ、ドキドキせずにはいられない。

恋愛感情はないのに。

そう言い聞かせるのは、もう恋をしているからじゃないのか。

そうやって、くだらない推測を始める脳内を弾き飛ばしたくなった。