「お前も飽きずによくやるよ」

「だって、碧人くんのためだもん!」


ーーーーそう。

屋上でわたしが待っていた人とは、他でもない碧人くんのことだ。


放課後、碧人くんが職員室に日誌を出しに行ったという情報を耳にし、屋上に先回りしていた。

放課後は必ず屋上にやって来る碧人くんを驚かせるために。


「驚いたくらいで記憶が戻るなら苦労しないから」

「えぇっ、これでもちゃんと調べたんだよ?」

「なんでもかんでも信じるな」

「うぅっ………」


なんでこんなことをしていたかというと、とある作戦を実行中だったからだ。


「でも見てよこれ!ほらっ!」


わたしは鞄から取り出した1冊のノートを顔の前に突き出し、


「………『碧人くんの記憶を取り戻そう大作戦』?」


ノートに書かれたタイトルを彼が嫌そうに読み上げた。


「なんだこのノート……」

「なにって作戦ノートだよ!今日実行したのはここ『びっくりドッキリ驚かせちゃおう作戦!』」

「センスのカケラもないな」

「うーん、結構いけそうな気がしてたんだけどなぁ」