「ふぅ……」

息を潜めて屋上のドア影に潜んでいた。

荒くなりそうな呼吸をグッと堪え、ある人を待ち構えている。


集中しすぎて、全身に耳がついているようなそんな感覚。今ならどんな音も聞き逃さない。

トンットンッとリズミカルに弾む足音に気づき、肩をビクリと跳ね上げた。

きっ、来た………!?


足音が近づくたびにドクン、ドクンと頭の中まで心臓の音が響いてる。

あと少し、あと少し……と思うところでガチャリとドアが開き、


「わっ!!!」


大声を出しながら開いたドアに向かって飛び出した。


「………なに?」


たぶん、3秒くらい停止していたと思う。

ドアを開けた人物が、冷めた目つきでわたしを見てきたから、あまりの温度差に恥ずかしくなってくる。


「いや、その……驚かせようと思って…………あはは……」

「そんなんで驚くわけないだろ」

「えー、わたしなら驚くんだけどなぁ」


作戦失敗。

驚くどころか、ため息を吐かれてしまった。