「ふーんだ。わたしは勝手に呼ぶからね!」

記憶のことだけじゃなくて少しずつ仲良くなれるよう、こっちも頑張ろう。


「好きにしろ」

「はーい」


占いが導いてくれた出会い。

偶然と偶然が重なれば、それはきっと運命と呼べるだろう。


ただ、碧人くんに近づきたくて。

ただ、碧人くんを知りたくて。


ーーーただ、それだけだったのに。


“記憶を取り戻す”本当の意味を、わたしは理解していなかった。


もしもこの時、未来だけを見つめるように促していたら、碧人くんはずっと隣に居てくれたのかな。

大切な友達になれたのかな。



沈む夕焼けの光が水面を照らしてキラキラと輝いている。

わたしたちの未来は眩しいものではなかった。


残した足跡だって忘れた頃にはすぐに消えてしまうように、わたしと碧人くんの物語も、儚いまま消えて無くなってしまった。


ただ、キミに笑っていてほしかっただけなのに。