「まぁ、お前らしく頑張りなよ」
ふわりと離れた体に、まだ熱が残っている。
久しぶりに触れたから少し緊張してしまったけれど、これから先の未来は、たくさん碧人くんと触れ合える。
そう考えると、とても嬉しくなった。
「もうっ……わたしは二宮芽衣子って名前があるんだけどなぁ」
あの頃のように「芽衣子」と名前で呼んで欲しい。ふと、そう思った。
彼にとってわたしは、知り合ったばかりの他人だけれど、碧人くんに名前を呼ばれる瞬間が好きだった。
なんの変哲もないわたしの名前が、とても特別に思えて世界がキラキラして見える。
「それもそうだな。じゃあ、芽衣子」
「えっ……な、名前?」
「嫌なの?」
「嫌じゃない!ありがとう、碧人くん」
絶対、呼んでくれないと思っていた。
出会ったばかりのあの頃も、名前で呼ぶことを拒んでいたし………。
いや、過去の出来事と比較するのはやめよう。
今の碧人くんを見つめて、わたしも前を向いて生きるの。



