さよならリミットブルー


「もう全部知ったんだから、今更何したって変わらないだろ」

「で、でも………」

「無理に離れようとするな。俺の側に居るって言えよ」


わたしに突きつけられた選択は、碧人くんの側を離れるか、もう1度だけ一緒に歩んでみるかのどちらかだ。

碧人くんの未来のために身を引くしかなかったけれど、全てを知った今はどうすればいい。


「キミと過ごした記憶は戻らないかもしれない。だったら、また最初からやり直せばいいだろ」


わたしを見る真剣な瞳に飲み込まれてしまいそう。

たとえ記憶が無くなって、碧人くんは変わらない。わたしが好きになった碧人くんは、今もここにいる。


残酷に終わった初恋の結末が、こうして変わることがありえるのだろうか。

もう2度とわたしのことを思い出してくれないのだと、泣き崩れた夜の道。

戻らない記憶に嘆くのではなく、キミとの未来を最初から始める選択だってあったんだ。


本当に碧人くんが大好きなら、忘れられたって構わない。

また、他人のわたしから始めてもよかったんだ。