あれ、その話……。

もしかして観覧車のこと?

なぜ記憶のない碧人くんがその話を知っているのだろう。


北上さんからまた記憶喪失になっていると聞いたとしても、観覧車での出来事は知らないはず。

だって、北上さんはあの場に居なかったから。

知っているのはわたしと、あのときの碧人くんだけ。

それなら、いったいどこで…………。


『あのとき、観覧車で碧人くんからキスされてびっくりしたなぁ。おでこだったけど』


ハッと、ついさっき自分が零した言葉が脳内を過ぎった。

ひょっとして……。

いや、それ以外に考えられない。


「もしかして、聞いてた……?さっきのわたしの独り言……」