想いを打ち明けたら、終わりにしようと思っていた。

後悔がないように全て吐き出して。そうすれば、わたしも前を向けるって。

碧人くんとさよならをするためにここまで来たのに、どうして目の前に彼が立っているのだろう。


「二宮芽衣子、だよな?」


ごくりと息を飲み込んだ。

今の状況をすぐに整理するのは難しい。

碧人くんがここにいる理由とか、わたしの名前を知っているとか、考えることはたくさんある。


全部言ってやりたいけれど、状況がわからない今は下手に言葉を滑らす訳にはいかない。

落ち着いて。碧人くんのペースに合わせなきゃ。


「そうだけど……何か用?」


わざとらしく碧人くんから視線を逸らした。


あぁ、本当は今すぐにでも抱きついてしまいたい。

会いたかった人が目の前にいるんだもの、動けないのが寂しい。