透き通るような綺麗な声が響いた。

この、声………。


聞き慣れた声。

聞きたかった声。

大好きな人の声。


弾かれるように振り返ると、


「碧人くん……」


確かにそこには碧人くんが立っていた。


ねぇ、神様。

もしも本当に神様がいるなら、これは占いが導いてくれたと思っていいの?

あのときだって、碧人くんは突然目の前に現れたんだもの。


動揺するわたしと穏やかに微笑む碧人くんは、とても対照的だった。


碧人くんがここに来た意味を知るまで、あと数分。

終わりを告げたはずの恋に、新たなイタズラが降り注ぐことになるとは思いもしなかった。