「あーあ。1人で来たって意味ないのにね」


島中が見渡せる展望台に、ひとりきり。

碧人くんを繋ぎ止める理由が欲しくて、わたしが勝手に作った約束。

記憶が戻ったら一緒に来ようって言ったのに……叶わなかったね。


それでも、約束は約束だから。

碧人くんの記憶が戻ったんだもん。ちゃんと約束を果たさないと消えてしまう。


ひとりぼっちだっていいの。

碧人くんと交わした約束は確かにあったんだと、肌で感じたかったから。


「碧人くん、わたしね……碧人くんに会えて本当によかったよ」


居るはずのない碧人くんの名前を口にした。


どうせなら今日で最後なら、全て曝け出してしまおうか。

後悔しないように、思っていることを吐き出してしまえ。

そうすれば何か変わるかもしれない。

色褪せた景色も鮮やかに見えて「さようなら」って笑えるかな。


それに、今日見た占いサイトにも書いてあっ
たよね。

『攻めの姿勢で積極的にチャレンジ!』って。

攻めてやろう。最後の最後まで碧人くんに縋ってやる。