二宮芽衣子に会うのが怖い。

俺の知らない自分を知るのが怖い。


瑠璃から聞いた話も結局は他人事に聞こえて実感が湧かなかった。

もしかしたら記憶を失っていたときの俺も、過去を知ることに怯えていたのかもしれない。


自分の知らない自分を突きつけられるのは誰だって怖いだろ。

自覚がないと二重人格のようにも聞こえるし、見間違いのドッペルゲンガーかもしれない。

俺はその恐怖をまた体験することになる。


会いたいと会いたくないを繰り返して、檻の中から動かない。

部屋に閉じこもっていたって、何も変わらないのに。

自ら前を向かなければ、俺は永遠に過去の自分と向き合えない。

瑠璃が託してくれた想いを無駄にしないためにも、早く答えを見つけなければいけないのに。


「あぁ、くそっ……!」


ダンッと力任せに机を叩いた。

動かない自分が情けなくて腹が立つ

こんなんじゃ、いつまで経っても瑠璃に顔向けできないじゃないか………。