「目障りなんだよ、お前」

あ……。

日野くんが放つ冷たい視線は、一瞬にしてわたしの体を凍らせた。


ようやく会えたのに。ようやく話せたのに。

2度目の会話がこんなにも悲しいなんて。


「もう俺に近寄るな」


それだけ吐き捨てるように言うと、わたしに見向きもしないで屋上から姿を消した。

夕焼けの中に取り残されたのは、動けないわたしと行き場をなくした迷子のピアス。


会いたくてたまらなかったはずのなのに。


「…………なんでっ……」


こんなに酷い態度を取られても、きっとわたしはピアスを捨てられない。

昨日わたしが出会った日野くんは、確かに今日と同じ彼なのだから。

冷たくするのは何か理由があるんじゃないかって、そう思いたくて。


「わたしより傷ついた顔してたもん…」


誰もいない屋上で、願うようにぎゅっとピアスを握りしめた。